「まあ……」 矢嶋さんは、ふっと千紗の方に視線を向けてつぶやいた。 「僕は千紗ちゃんとデートできるならどこでも良かったけど」 「またまたぁ。ほんと、矢嶋さんって、女の人を喜ばすの上手なんですね」 思わずそう返してしまう。 でもこれは本音だった。 彼はいちいち女の扱いがうまいと思う。 普通ここまでやられたら、好きになるなって方が無理なんじゃないかな? 「そんなことないと思うけどなー、女の子ってそんな単純じゃないでしょ」 矢嶋さんは笑いながらそう言った。