「今日は、どうして水族館だったんですか?」 千紗の問いに、矢嶋さんは、目の前の水槽を眺めながら言った。 「なんだか癒やされそうじゃない? 水族館って」 ゆらゆら揺れている水面や、鮮やかな魚たちを見てると、なんだかゆったりした気分にはなれる。 大きな水槽の中にいる魚たちは、そこから出れないけれど、それでも悠々と泳いでいるようだ。 「癒やされます、ほんと」 水族館なんて、何年ぶりだろう。 久志とは来たことなかったから……もう学生時代に行ったきりかな?