斎藤課長が、千紗に声をかけた一件は、社内にすぐ広まった。 つまり、憶測ない噂がたくさん広まったのだ。 それこそ、隠れ愛人だとか、社長を取り合っただとか。 本当にくだらない噂話だ。 みんなそんな話してる余裕があるなら、仕事してよね。 思わず、そう言い返したくなる。 「噂もすぐおさまりますよぉ」 祥子もこの時ばかりは、優しい言葉で慰めてくれた。 この時、千紗は、これから一波乱あることを、まだ何も知らなかった。