大阪――。

まだどこかチクリとするのは、引きずっているってことになってしまうんだろうか。

ここ最近の千紗の頭の中は、矢嶋さんの事でいっぱいだったのに。

その「大阪」って単語を会社で耳にしただけで、なんだか複雑な気持ちになってしまった。

営業課ってことは、久志と同じ部署だ。

もちろん、彼が、あたしのことなんて他の人に話してるわけないだろうけど。

やっぱり、意識してしまうのはしょうがない。

千紗はため息をついた。