茶色い重厚な扉を開けると、矢嶋は千紗を中へとうながした。 「いらっしゃい」 小さなカウンターの奥から、初老の男性が顔を覗かせる。 彼は矢嶋に気がつくと、「おっ、久しぶりじゃないか」と顔をくしゃくしゃとさせながら笑った。 「こんばんは、佐伯さん。お久しぶり」 矢嶋はカウンターの前に立つと、隣の椅子を引いて、まだ緊張している千紗を座らせた。 「ソウタが、綺麗な女の子連れてくるとか、こりゃ明日は、大雨だな」