他愛ない会話をしながら、一時間ほど走っただろうか。 高速道路を下り、一般道路を少し進んだところで、ようやくそこが横浜のみなとみらいの近く、ということは分かったけれど。 あっという間に路地に入って、矢嶋は車を止めた。 「着いたよ。ここ」 そこは、住宅街の一角にある、茶色いレンガの建物だった。 通りには黒と白の看板が、もう点灯している。 「珈琲と紅茶の店――」 見上げると、丸いかわいい電球が扉の上についていた。 「こっちこっち」 矢嶋がその前で手を振っていた。