「だって、もしかしたらこのまま、変なところに連れて行かれちゃうかもしれないよ?」
「へ、変なところって……」
「男の部屋にもついてきちゃうし」
そう突っ込まれて、千紗は何も言い返せなくなってしまうった。
もしかして、ほいほい男についていく軽い女って思われてるのかな。
ふいに不安になる。
答えられずにいる千紗に、矢嶋は「ごめん、ごめん」と慌てて言う。
「いじわる言い過ぎた。ごめん。藤永さんが、ワンコみたいに素直についてくるから可愛いなって」
「ワンコ……ですかぁ」
それ、この間も言われた。
そんなに従順じゃないですよ、心の中で答える。
今日だって、下心があってシフォンケーキ作ったんだから……。

