「違いますよ。この人はミラベルさんです。名もなき街の住人だった人ですよ」 「名もなき街の……ねぇ…」 不思議な色の目がこちらに向けられる。探るかのように私をじっくり見る目。なんだろう、息がつまる…。 「ミラベルさん。この人がラックレイ・リジェロさんです。このメガネを作ってくれた人ですよ」 「ラックレイだ。まぁラックって呼んでくれ。よろしくなお嬢ちゃん」 さしだされた手を握ると、ロムスと同じくらい冷たかった。