名もなき街を出ると果てしない草原が広がっていた。私の知らない世界。一生触れることはないと思っていた世界。


 「そういえば……」 


 男の子が振り返る。なんの用事だろう。


 「名前…なんていうんですか?」

 
 あぁ、名前言ってなかったっけ。


 「ミラベル」


 「ミラベルさんですか。いい名前ですね」


 男の子……いや、ロムスがにっこり微笑む。この人…笑っている人を見ると殺したいとかいうのに自分はよく笑うのね。変な人。