殺人鬼と私

 
 「名乗り遅れました。僕の名前はロムス・レイヤロンドです」


 そう言いながらにっこり微笑む彼の手に血の滴るナイフが見えた。やっぱりこの人が管理の人を殺したんだ。


 「どうして殺したの?」


 「申し訳ございません。僕、“笑っている”人を見るとつい殺したくなるんですよ」


 「笑っている人……?」


 管理の人が笑っているところなんて見たことない。いつもゴミを見るような目で私達を見て、時折つばを飛ばしてくるような人なのに。


 「えぇ、コイツったら素直に全部言ってくれましたよ。別に僕は聞いてもいなかったのにね。『人売りの契約なら破棄する!だから殺さないでくれ』ってね」


 彼は管理の人の声そっくりでそう言った。