幸二はリビングのソファーに座り紙袋からパンを取り出し頬張っている。


まぁ、あのパンを食べそこねたのは残念だけど、
幸二が大人しくなって良かった。


「顔、洗いたい」と言う私に獅朗がタオルを渡してくれた。


準備出来たらとっとと帰ろう。
ここに居る意味はもうないし、何より幸二が大人しいうちに。


「じゃあ、私帰るね」

「送ってく。そんな服じゃ電車にも乗れねーだろう」

「……」

「ほら、行くぞ」


獅朗が私の腕を掴むと「またおいでよ」と真澄が片手をヒラヒラさせた。

それは"絶対ない"そう思いながら秘密基地を出て、獅朗のビックスクーターでマンションまで送ってもらった。