Heaven~第ニ章~

「じゃあ、行くか」


車が走り出し見慣れた景色が遠くなって行く。

助手席には鼻歌交じりのご機嫌な幸二。
私の隣には窓の外の景色をジッと見ている獅朗。


これじゃ、誰の誕生パーティーなんだか分かんない。
誕生日くらい笑っていれば良いのに……


獅朗が私のことを知らないように、
私にも分からない獅朗の世界がある。
その世界に少なからず、私は今から関わってしまう。


関わってしまえば、
何かあって知らないとは言い通せない。
実際、
知っていても、知らなくても関係ない。


"堕天使"の学に出会って……
"Heaven"の獅朗に出会って……
嫌と言うほどわかりきっていること。


そんな面倒なことに巻きこれるのは嫌だと思っていても、こうして誕生パーティーに向かっているのはどうして何だろう……――