Heaven~第ニ章~

こんなドレスを着せられ、好き勝手にされて、
それでも文句を言えないのはどうしてだろう。



"似合ってる"



その言葉は自分で思う以上に心に響いていた。
それはきっと獅朗の言葉だから、
嘘を吐かないと分かっている獅朗だから、


「早く、早く」と幸二に急かされ「何処に行くのよ」とまた車に乗り込むと


「は?椿、何も聞いてねーの?」

「聞いても教えてくれないんだもん」

「説明されなくてよくここまで……」

「幸二も行くの?」


真っ黒のスーツに細いネクタイ。
何時ものヤンチャなイメージなんてない。
黙っていればそれなりのお坊ちゃまに見える今日の幸二。