Heaven~第ニ章~

「バイク……置いてけば?」

「あ?」

「雨なんだし、」


こんな雨の中バイクになったら……
嫌なことが頭を過ぎる。

クラッとする意識を雨音が辛うじて私を繋ぎ止めていた。


「地下に駐車場……あるから」


学が使っていた駐車場。
あの深緑の四駆の車はもう止まっていない。

私と同じ空っぽの場所に獅朗を案内した。


「ここに止めて平気だから。明日にでも取りに来て」

そう言って部屋へ戻ろうとした時


「椿」



獅朗が私を呼び止める。