「でも、こんな場所に置いておいて大丈夫なの?」

「誰もこんなのに悪戯しねーよ」


こんなのにって言うか、
獅朗のバイクだって分かってるからでしょ……


「じゃあ、行くか」


獅朗と歩き出して選択を失敗したと心底思った。


私と獅朗が歩いていると遠巻きから「キャーキャー」と女の子の声が聞こえて来た。
そして、すれ違う男は獅朗へと頭を下げて行く。


だけど、獅朗は全く気にすることなく普通にしている。
きっと獅朗にとってみたら、こんなのは普通のことで今さら驚くようなことじゃないんだと思った。

それがちょっと不憫に感じた。

自分が知らない人が自分を知っている。
自分が知らない所で誰かが見ている。

可哀相な獅朗達の世界。