顔を上げると真澄の瞳が真っすぐ私を捉えていた。
あんなに煩かった音楽なんて耳に入ってこない。


真澄の言葉だけが鮮明に私の耳へ伝わってくる。


「え?」

「そんなに嫌なら一緒に死んであげるよ。俺も椿と一緒だから……全部嫌だから」


真澄の全てが何を指していて、何に絶望しているかは分からないけど、
きっとその先にあるのは"死"なんかじゃない。


その答えは違う……
ギュッと口をつぐんで首を振ると「そっか」と私からフロアーへ視線を移した。


「死にたくなったら言ってよ。その時は一緒に死んであげるから」


そう言って立ち上がり「水もらってくる」とカウンターの方へ歩いて行ってしまった。