Heaven~第ニ章~

「だから……事故の前の日にも会ってたんです」

「……」

「椿さんは事故の日、そこに居たんですよね」

「……うん」

「どんなでしたか?」

「え?」

「兄の最期は……」

「学は……」


ゆっくりとあの日を思い出した。



「学は笑ってたよ。楽しそうにバイクに乗って……」


真っ赤な牡丹を咲かせてたよ。


「笑ってたんですね……」

「うん」

「そっか、笑ってたなら良かったです」


健君の伏せた睫毛の先が少し濡れていたのが見えた。