「真白花いるかー?」



真白花を探しに教室へ戻ると、そいつは自分の席で弁当を食べながら本を読んでいた。



教室には誰もおらず、そいつ1人だった。



涼しそうに窓際から入ってくる風になびく肩まである綺麗な髪。



そして、眼鏡の奥の大きな瞳が扉の前の俺を捉えた。


目が合って、なんとなく逸らせなくなってしまう。



なんか、真白花のこういうミステリアスなとこ苦手だ。



その雰囲気を壊したのは向こうで。


一瞬キッと俺を睨むと、再び本に視線を戻す。



そういう仕草が、どことなく郁に似てると思ったのを俺は覚えている。