そして、俺の日常生活において名字で呼ばれることはまずない。 普段、唯と言われすぎて自分の"千景"という名字の呼ばれ方に妙なくすぐったさが感じる。 「この花は、アガパンサスという花です」 俺の後ろにいた彼女は、少しづつ前にゆっくりと歩いてくる。 そして俺はなぜかそんな彼女から目が離せなかった。 「花言葉は・・・」 そう呟いて、俺の目の前でぴたっと足を止める。 そして俺を見上げて囁く。 「恋の訪れ」 風が、彼女の髪をなびかせる。