一年前、僕とお嬢様は
近くにある街に行き、
そこから直ぐに違う街へ、
そしてそこからまた違う街へ…
そんなことを転々と繰り返し続け、
現在いる街へとたどり着いた。


お嬢様は逃亡中、色々な街に
たどり着いては珍しそうなモノを
見るように楽しんでいたが、
僕としては、追っ手のことが心配で
気が気ではなかった。


幸いなことに、追っ手には
一度も見つかる事なく、
無事振り切ることが出来たが、
あの頃は本当に四六時中、
肝を冷やしたものである。




…そして、現在はようやく落ち着く
ことができたので、アパートを借り、
働きながら、お嬢様と
二人でひっそりと暮らしているのだ。