奏で桜

「…なにがいいたい?」


「…最初におっしゃった通りです。
お嬢様…逃げていますよね?
外の世界に出れないのは
自分の運命だからと
諦めていませんか?」


「実際、その通りでしょう。
私はこの屋敷の次期当主、
ティアナ=ルーファスなのよ。
私がいなくなれば、この屋敷を
継ぐ者がいなくなるのだから
仕方がないでしょう。
貴方とは根本的に立場が違うのよ。」


「…それは、新しい
逃げの一手でしょうか?」


「………なんだと?」


「たしかに僕と貴女様とは、
全く身分も立場も違います。

しかし、結局それは関係のないこと
だと思いませんか?
本当に行きたいと思うのでしたら、
僕ならば迷わず行きますから。」


「…使用人風情が。
口だけは一人前のようね。

…私はお前と違って
無責任じゃないのよ。
何も知らないくせに
しゃしゃり出てこないでくれる?」


「…〝責任〟か。」


「…何が可笑しい?」


「…いえ、お嬢様には一番似合わない
言葉だなって思いまして。」





「…おい。」