…羨ましいわ。
私も、そんな風に自由に
生きたかった…。
あの月の向こう側に
行ってみたかった…。


…そうすれば…、
こんなにも自分の運命を
呪わずに済んだのになぁ…。

…そうすれば…、
こんなにも苦い想いを
しなくても済んだのになぁ…!」


…彼女はそこまで言って、
伸ばしていた腕を、
人形の糸がぷつんと
切れたかのように下ろした。

彼女の言葉は僕の心に、
冷たいしこりのようなものを残した。
それの所為かどうかは定かではないが
僕は彼女の言葉を聞いても何も
言えずにいた。


〝沈黙〟以外の選択肢を
与えてくれなかったのだ。