「ねぇ、あなた?
〝サクラ〟って知ってる?」



「…〝桜〟のことですか?
春になると咲く花の…?」


「うん、そうだよ!
実は今、弾いていた曲…
私が桜をイメージして
作った曲なの!
私、本の中でしか見たことが
ないのだけれど、どうしても
〝見てみたくて〟ね。曲として、
作ってみたんだけど、ちゃんと
再現できてたかな…?」


「…はい。立派な桜が
咲いていましたよ。」


僕は少し微笑みながら返事をした。

その言葉に嘘、偽りはない。
むしろ、その少女が答えをいって、
納得している自分すらいるほどで、
あったからだ。
それほどまでに再現度は高かった。