「…なぜ、屋外でピアノを
弾いているのですか?」



それは、ある意味で至極当然な
質問である。
少なくとも僕にはピアノは室内で
弾く代物だと当時は、いや、今でも
そう思っているからだ。
そんな僕の質問にその少女は
器用にもピアノを弾きながら
こう答えるのだった。



「それはねぇ、
今日がとてもいい天気だからだよ。
だって、こんなにも風が
気持ちいいんだもん。
だったらお部屋の中で
ちっちゃく弾くよりも、
お外に出て、おっきく弾いた方が
楽しいに決まってるじゃない。
それに、そのおかげでほら…。
今日もまた、〝頼もしい合唱団〟さん達
が来てくれたわ。」