「…申し訳ございません。
只今、懸命に捜索しております故、
もう暫くお待ち下さい。」


その答えは自分の期待通りの
答えではなかったのか、
貴婦人は溜め息を洩らす。



「…確か、執事が一人
付いているそうですね。」


「…はい。お嬢様は〝星井 有斗〟を
連れて行かれたようです。
正確には星井 有斗がお嬢様を
連れ出したようですが…。」


〝そうですか…〟
貴婦人はそう呟きながら、
ひどく困ったような顔をした。
その表情は今までその〝お嬢様〟が
起こしてきた問題の数々を意味する。



「全く…あの子はいつもいつも…。

…引き続き捜索なさい。
まだ、そう遠くには
行ってないはずですよ。
だから、必ず見つけて私の前に
連れて来なさい。いいですね?」


「畏まりました。」


〝本当に馬鹿な子ね…〟
彼女はそう言って再び、
今度は深い溜め息を洩らすのだった。