奏で桜

あいつはふうっ、と息を吐き、
一度、深呼吸をすると同時に、
次第次第に語り始めた。






「…ここに来る前、湖のほとりでの
ことを覚えてられますか?


あの時、僕は〝たとえどんなことがあろう
とも、命に代えて貴女様のことをお守りする〟
と、そう誓いました。


その時…同じように決めたんです。



貴女を二度と哀しませない…と。
貴女を二度と独りにさせない…と。」


あいつはいつもとは違い、
真正直に語り続ける。

私もそれを真摯に受け止めていた。



「…結果的に、両方とも失敗して
しまいましたけど、僕の気持ちはあの頃から
ずっと変わりません。


貴女のことが大切だから。

そして、なによりも…」









〝あなたの笑顔が好きだから〟









…あいつはまたいつもの様に不器用に笑った。