奏で桜

…その時だった。
いや…、その時だからこそなのだろう。




背後からギシっとベッドが軋む音が
聞こえてきた。






私が振り返ると〝やはり〟
あいつが起き上がっていたんだ。





「ぼく…が、や、る。」


掠れ切った音が聞こえてくる。
それがあいつの声だと気づいたのは
およそ数秒後のことだ。


あいつは今にもまた眠ってしまいそうなほど
ふらりとしていた。



目の焦点が合っていなく、
私の存在にも気づいていないようだった。







「し、しかし…あなたに…
そんなことを…。」