ーガチャ。




突然、扉がささやかに音を
立てたので、振り返ってみると
そこには見事なまでにだらしない
格好をした少女が欠伸をしながら
こちらに来ようとしていた。



「お早うございます。
起こしてしまいましたか?お嬢様。」


「んう…。
ちゃんと自分で起きたわ。」


「…そうですか。
なら紅茶でもお作りしましょうか?」


「…お願いできる?」


彼女はやはり寝起き
だからであろうか、
何度も欠伸を細やかに繰り返した。
それはとても眠そうな
猫のようである。
だが、格好としては理由も
つけられないほどにだらしない。

そこには吸血鬼の威厳や誇りなど
微塵も感じられないだろう。