奏で桜

…突然の電子音に私たちは硬直する。
どうやら、玄関近くにある
電話が鳴ったようだ。

残念ながら、彼女の声はそれによって
遮られてしまった。



そして、彼女は、〝ごめん、後にするね〟
と言って、受話器を取りにいった。



「はい、もしもし。山吹ですが…ー」












…私は一体、どうすれば良いのだろう。


頭の中ではずっとそれだけを考えている。

そして、その答えはいつだって
〝わからない〟、なんだ。



…あいつはどうして私を叩いたのだろう。

本当はわかっている筈なのに
それをどうしても認めたくない私がいた。

認めてしまえば楽になれるのに…
変な意地や妙なプライドが
それの邪魔立てをする。


だから余計に〝わからない〟を
増長させるんだ。


私は左頰を掌でそっと撫でるように触れた。




あれ…?そういえば…