奏で桜

しかし、私はその発案に対しては、黙って
頷くわけにはいかなかった。



「…ヒイロ、私は…。


…もう、〝あいつ〟と仲直り
する気は…ないよ。」


「…どうして?」



「…どうしてって…、
あいつが…私の自由を奪ったからよ…。

あいつが私を自由にするって
約束してくれたくせに、あいつはそれを
守らず、私を長い間〝あの小さな部屋〟に
閉じ込めた…。

挙げ句の果てには、この私を叩いたのよ。
ありえないことだわ…。
従者がよりにもよって、
主人に暴力を振るうだなんて…。」


私はそのまま、マグカップを
覗きながら話を続ける。



「あいつは大嘘吐きよ。
私はあいつを信じてずっと待っていた。
それなのにいつまで経ってもあいつは外に
出してくれなかった。

結局、私は部屋の中から眺めることしか
出来なかった。