彼女はそう言って柔らかく微笑んだ。
その表情や、行動や、口調は、
相手を暖めてくれる何かがある。

現に僕は先ほどまでの寒さが
まるで無くなったように感じられた。




「…ありがとうございます。
陽彩さんにはいつも
ご迷惑ばかりかけて…、
何と言っていいのやら…。」


「ううん、困った時は
お互い様だから…。
それに今回のことだって
私が勝手にやったこと
だけですもの。
アルトくんが気にかけることなんて
何一つないんだよ?」


「いえ…ここまでしてもらって、
お礼の一つもしないわけには
いきませんから。
今度、ぜひ何かさせてください。
お願いします。」