【完】『ふりさけみれば』


翌朝。

みなみが目を覚ますと、一慶は外出していた。

カレンダーに目をやった。

十五日ではない。

いつも一慶が出かけるとき常にそうしてあるように、すでにみなみの朝食は作ってあって、

「しばらく空けるので、冷蔵庫の作り置きを保温すれば大丈夫なようにしました」

と書かれたメモがある。

そのため。

みなみはごく当たり前のように一慶の作った卵サラダやツナサンドを食べた。

出勤して帰ると。

まだ一慶はどこか出かけたままである。

(しばらく空けるって書いてたっけ)

というぐらいで、みなみは気にしないで過ごした。

が。

これが数日続くと、

(さすがにちょっとおかしい)

とみなみの気持ちは焦り出した。

なぜなら。

これまでも何日か空けることはあって、そのときには電話やメールが来たので、みなみは何の違和感も不信感も持たなかった。

しかしながら。

何のメールも電話もない。

さらに。

長期の旅なら持ち出すはずの原稿用紙も、万年筆も、長旅で使うリュックもそのまま置かれてある。

最も不可解なのは、携帯電話を置いてあることであった。