土曜日の東京駅は、雨音がアナウンスをかき消してしまうほどのどしゃ降りであった。 そのせいか。 新幹線は徐行がかかって、少しダイヤが乱れ気味の様相である。 「こんなんじゃ間に合わないよ」 みなみは空を恨めしそうに仰いで、少しべそをかきそうになっていた。 そこへ。 「橘さん」 みなみは振り向いた。