【完】『ふりさけみれば』


やや間があって。

週刊誌にみなみと一慶のデートの写真が載った。

見出しは、

「女子アナと作家のオープンな京都デート」

と字が踊り、ワイドショーでは毎日トップがこの話題になった。

いっぽう。

みなみと一慶の堂々とした姿勢はおおむね世論は高評価で、

「私も兵藤さんみたいに男らしい彼氏が欲しい」

「ただの女子アナだと思ってたけど、カッコよくて橘みなみを見直した」

と、特に若者たちの間では高い支持を得た。

この現象は。

あらぬ場所でも変化をもらたした。

一慶の小説は短編や掌編がほとんどだが、その短編や掌編を集めた文庫本が売れ始めたのである。

とりわけ。

通常はそんなに売れてないだけに在庫が少なかったのもあって本屋で品切れまで起き、増刷が決まった本も出てきた。

この騒ぎには一慶も、

「おもろい世の中やなぁ」

小説って要は妄想なんやけどなぁ、とみなみと笑いあったこともあった。