「いちいち殴ってくんじゃねぇよ。」


「じゃあいちいち悪口言うなー!」


「別に悪口じゃねぇだろ。」


「きっ、気にしてるの!」



桐山はフッと私を見て笑うと

私以外の誰にも聞こえないように言った。



「なんで?ちっさいの可愛いじゃん。」


「っっえ…」


「沙々。今日の放課後、自習室来い。」


「なんでっ…いや」



私が断る前に桐山は人混みのなかを歩いていってしまった。



喉の奥に何かがつっかえてるみたいに息苦しくなった。