「桐山!?」


人垣で桐山の様子が見えない。


でも、何人かが地面に倒れていくのが分かる。


桐山があの多勢と互角に戦っているということだ。



でも…

きっと桐山が押され始めるのも時間の問題だ。


「飯島くん!お願い、やめさせて。」


「今度は俺におねだりかよ。

悪いけど無理。」



ゲラゲラと下品に笑う様子に怒りが沸々と湧き上がる。




人混みの中からいくつかの笑い声が聞こえてきた。

桐山が……やられてる…。



「止めろ!今すぐ!これ以上続けたら許さない!」


「許さない?別に許さなくていいぜ。

今からお前がされることと一緒にずーっと覚えてて、苦しめばいい。」


「お前っっ!!」



私が力いっぱい飯島のお腹に体当たりすると、

苦しむどころか、彼はゲラゲラと笑い出した。



悔しいっ…

こんな大変なときに、桐山を助けてあげられない。


大切にしようと心に決めたばかりだったのに…




私は涙を溜めながらびくともしない飯島のお腹に体当たりし続けた。