下げた頭に、瀬田君はぽんぽん、と手が乗せる。
だから、甘いってば。
怒ってた割には、手つきが優しい。

「ほら、お前のうちに行くぞ?
試着しないとな」

「う、うん!
皆ごめんね、試着したら手伝いに戻ってくるから!」

立花さんは、大慌てで瀬田君と一緒に教室を出て行った。
一度行って、わざわざ戻ってくるの?

あ、そうか、立花さんの実家兼、お母さんの喫茶店、近かったっけ。
慌てて校門を出る二人の姿を見送って、私はまた、みんなと明日の準備を始めた。