鈍感ちゃんと意地悪くんの周囲の人々

立花さんは、押さえつけられている口元の瀬田君の手を、懸命に引き離しにかかった。
その細い腕で勝てるわけ、ないのになぁ。
暫く見ていると、やれやれ、と、瀬田君が大人しく引き剥がされていた。

自分で引き剥がした、と思い込んでいる鈍い立花さんは、ふうっと息を吐いた。

「はぁ……苦しかった、突然何。
昨日は子供を寝かしつけにかかるお父さんみたいに優しかったのに」

「は?」

二人が声を揃えて、目を丸くする。
私も、驚いて手を止めてしまった。

「昔、寝る直前にお父さんがしてくれてたの。
おでこにチュって。
なんで瀬田があたしにするのかなぁって」

瀬田君と高橋君は、驚いている。
私も、驚いた。