彼との出会いは、本当に偶然だった。

わたしが働く会社の隣町。
いつもは立ち寄らない町だけど、用があり、ある日降り立った、
夏の始めくらいだったか。

その時わたしは、地図を片手に商店街で道に迷っていた。
こんなんじゃ、約束の時間に遅れてしまう……!

慌てたわたしは、目の前の男性に声をかけた。

「すみません、道に迷ってしまったのですが……!」

振り向いた彼は、背が高く、細身で、整った顔立ちで、わたしは一瞬で恋に落ちた。