蠍の星


気になって近寄ると
赤い光の正体は
赤い宝石が散りばめられた古いブレスレットだった。

「それ、気にったのかい」

いつの間にか隣にいた老婆が声をかける。どう見ても女物のそれを何故僕が気に入ったと思ったのか。

「それ、ルビーが埋め込んであるのさ。
まぁ、
古くてたいした価値も無いけどねぇ。」

「はぁ…そうですか…」

「そうだ、気に入ったならアンタそれ持ってきなよ。」

そう言って袋に包み始める老婆。

「い、いや…あの、俺は…」

「ほれ。毎度あり。」

断る前にはもう
袋に包み終わったブレスレットを渡されてしまった。
なんという店だろうか。これを世の中では押し売りというのではないだろうか。