あなたの彼女になれるまで。

「...恋音?」

「あ、なに?」

「もしかして、ゴールキーパー見てた?」

「あれってさ、玲央?」

「うん!!私の彼氏。」

「え?!」

「ごめんね。今まで言えなくて。」
私の恋は5分もたたずに終わった。
ショックだった。
玲央に彼女がいたなんて。
私はとっさに聞いた。

「なんで言わなかったの?!」
なんで...なんでよ。
華乃...。心友なのに。
なんで...なんで教えてくれないの。

「ごめん。だって好きだろうと思ってさ」

「いつから?」

「卒業式に告られた」

「そ、そうなんだ!!玲央とあんまりしゃべらないし、好きじゃないよ!!安心して!!」
私は心友に嘘をついた。
華乃に嘘をつくのは初めてだ。
華乃は玲央の彼女だと私は知ってしまった。

「ほんとに好きじゃない?」

「...」
私は答えなかった。
だって好きになっちゃいけないもん。
ここで好きって答えたら、私はかなわない恋をすることになる。
そんなの...たえらんない。

「ここ、答えて。」
ここ とは私のことだ。
ここねとか、ここ、とか呼ばれてる。

「答えない。」

「好きってことか。」

「やめて。そんなんじゃないから。」
帰ろうとした時。
私の体に華乃がしがみついてきた。

「お願い。恋音と本音で話したいの。」

「答えたら好きになる。これが私の本音だよ。」
これが私の本音。
もう私の恋はどうせ終わり。
華乃、幸せになってね。
華乃、大好きだよ。

「...好きなんだね。」

「私、今日から一人で帰るね。華乃は玲央と帰りなよ。」

「なんで?いつも恋音と二人で帰ってるじゃん。」
私がいたら邪魔だからね。
華乃、かばわなくていいよ。

「華乃、玲央と私どっちが大事?って聞かれたら迷わず玲央って言うでしょ?
華乃と一緒にいなきゃならないのは玲央。
玲央と一緒にいなきゃならないのは華乃。
私は必要ないんだよ。だから、二人で帰りな。」
うん。そうだよ。華乃と玲央はいつも一緒じゃなきゃね。

「...華乃。バイバイ。」