「結雨」
部屋のドアが開いたのと同時に、湊に名前を呼ばれた。
「あら、湊ちゃん。なにかしらぁ?」
「ずいぶん機嫌いいな。さっきと大違いじゃねーか」
「えへへ~っ」
だって先輩とデートの約束したんだもーん。
「電話終わったのかよ?」
「うん」
「俺もう寝るから」
「わかった。おやすみ~」
いつも勝手に寝るくせに。
わざわざあたしにおやすみを言いに来るなんて、湊もちょっと可愛いとこあるじゃん。
「だから、テーブルの散らかったゴミ、おまえ片付けといて」
おい、そうゆうことかーい。
「じゃ」
湊は自分の部屋に入っていった。
「何様なのよ……アイツは」
あたしはため息をつき、部屋を出てリビングに向かう。
テーブルの上や床に、お菓子の袋やゴミが散らばっていた。
さっき湊とふざけて暴れたせいで、こんなに散らかったんだ。
片付けなかったら、明日お母さんに怒られるだろうし。
湊のやつめ……。
まぁいいわ。
いまのあたしは、ご機嫌ですから。
「さっさと片付けて、あたしも寝よっと」
先輩とデートの約束をして、あたしは浮かれていた。
しかし、この次の日。
あたしは今まで知らなかった先輩を。
先輩の隠していたヒミツを。
知ってしまうことになる――。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
