見つめ合ったまま動けずにいると、
次の瞬間、湊は静かに口を開く。
「……どけ」
「え?」
「クソ重い」
「なっ……」
湊はあたしの髪を掴んで、グイッと横に引っ張った。
「イタぁ――ッ」
――ドサッ。
あたしの体は、湊の体の上から床へと落っこちた。
床に倒れたまま顔を上げたあたしは、湊の憎たらしい顔を見つめる。
「あー、うま」
最後のポッキーを満足げに食べている湊。
あたしは下唇をきゅっと噛みしめて、湊を下から睨みつける。
……悪魔だ。
可愛い顔をした悪魔。
ポッキーを食べ終えた湊は、満面の笑みであたしを見下ろした。
「フッ……」
「むぅーっ」
床に座ったあたしは、湊の足の甲を思いっきりぎゅっとつねる。
「イッて……!」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
