「あ、はい」
あたしが返事をすると、部屋のドアが開いた。
スーツ姿のおじさんは部屋の前で立ったまま、あたしたちをジッと見つめる。
「……ふたりとも何してるんだ?」
「見てわかんだろ?親父」
「ヨ、ヨガっ!朝から健康的でしょ?おじさんもどう?」
湊とあたしは、床の上にならんで立って、ヨガっぽいポーズをしていた。
ヨガなんて、ふたりともしたことない。
床の上にあった雑誌のページがたまたま開いていて、それがヨガの特集だった。
おじさんが来たことに動揺したあたしたちは、咄嗟にそれをマネした。
「今日、朝から会議なんだ。もう仕事に行かないと。病室には夜行くから」
「あたしたちは、学校行く前にお母さんのところ寄っていくね。ね?湊」
「おぉ」
湊がヨガのポーズしてるのって、なんか笑える。
「わかった。ちゃんと朝ご飯食べてから行くんだぞ。じゃ……」
おじさんが部屋のドアを閉めた瞬間、湊とあたしは大きく息を吐き出した。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
