喫茶店の前にあるバス停のベンチに座ったあたしは、
雨に打たれながら、しばらくの間ボーッとしていた。
記憶の中のお母さんは、幸せそうに笑っていて。
大好きなその笑顔は、これからもずっと忘れないと思う。
お母さん……。
あたしはお母さんとの約束、守れるかな……。
「結雨っ」
雨の音にまじって声が聞こえた。
「結雨……!」
雨に濡れながら、湊が向こうから走ってくる。
「湊……」
ベンチからゆっくりと立ち上がると、
湊は走ってきた勢いのまま、あたしを抱きしめた。
「……っ、見つけた」
「湊がどうしてここに……?」
湊はぎゅうっと強く、あたしを抱きしめる。
「おまえと何年一緒にいると思ってんだよ?」


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
