ベッドからおりると、うしろにまわってあたしの両肩をつかんだ湊は、
あたしを押しながら歩いてリビングに向かう。
食卓のイスに無理やり座らされたあたしは、目の前の光景を見て驚きを隠せない。
「ホントに湊が用意してくれたの……?」
「他に誰もいねぇだろ」
「湊が料理するなんて……」
「そうめん茹でただけな。大げさかよ」
「だって、そうめん茹でることさえできないと思ってたから」
「どんだけだよ」
あたしの前に麦茶の入ったコップを置いた湊は、あたしと向かい合って座った。
「食欲なくても、そうめんくらい食えんだろ?」
「……ん」
あたしはそうめんをひと口すする。
「やっぱり……なんかヘン」
「あ?ヘンだと?きっちり時間計って茹でたぞ」
「そうめんじゃなくて」
「めんつゆ?」
「湊……何かあたしに隠してない?」
箸をテーブルにおいたあたしは、湊の目を見つめた。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
