「このTシャツ、快のために結雨ちゃんが作ったんだよ?ね?」
奈乃は大きな声で言うと、結雨ちゃんのほうを見てウインクした。
「そうですともっ!あたしが勝利を祈って作ったTシャツ。はい、みんな一斉にうしろ向いてー」
結雨ちゃんの声で、横にならんでいた4人は、快の前でくるっとうしろを向いた。
「ほらっ、湊も」
湊くんは、無理やり結雨ちゃんにうしろを向かせられる。
左から順番に、湊くん、結雨ちゃん、琥都、奈乃。
それぞれが着ている白いTシャツの背中には、大きく黒い1文字が書かれている。
“I” “ラ” “ブ” “快”
それを見た快は、ボソッと言った。
「……アイドルか、俺は」
「ちょっ、もっと喜んでよぉ!快が三振奪うたびにみんなでうしろ向くから、こっち見てね?」
そう結雨ちゃんが言うと、快は大きな声で笑いだす。
「アハハハッ。さすがアイドル好きの結雨が考えそうな……」
快は話の途中で、湊くんに睨まれていることに気づいたらしい。
「湊ちゃん……その目、怖すぎない?」
湊くんのほうをチラチラと見ながら、快は結雨ちゃんの耳元で小声で話す。
“結雨、まだアイドルのファンやめろって湊ちゃんに言われてんの?”
“そぉなの。写真飾るだけで怒るんだから”
“ヤキモチやきの彼氏持つと大変だな”
“湊と付き合うずっと前からファンなのにさぁ”
快と結雨ちゃんがコソコソ話していると、湊くんは冷たい声で言った。
「おい、そこ。全部聞こえてんぞ」
その様子を見ていた琥都と奈乃は、顔を見合わせて笑う。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
