俺は、結雨の柔らかい髪を手でそっとかきあげて、頬や耳にもキスをする。
「……っ、湊……もぉ6階着いた」
……6階まで、はやくね?
初めて高層マンション住みてぇって思ったわ。
「着いたってば」
「……この続きはあとでな」
結雨のおでこに自分のおでこをコツンと軽くぶつけると、
結雨は顔を赤くして、きゅっと口をむすぶ。
「いまさら純情ぶんなよ」
「なっ……!」
「密室ってなんかいいな」
「エロ悪魔っ」
「あ?」
結雨の手をとってエレベーターから出た瞬間、
俺たちは立ち止まった。
俺は、ぎゅっと強く結雨の手をにぎりしめる。
俺ん家のドアの前に寄りかかってこっちを見ていたのは、俺の親父だった。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
