「先輩が部活終わったら、会う約束してるんだっ」
「そぉなんだ」
「うんっ」
「あのさ、結雨ちゃんて……」
そう何かを言いかけた奈乃は、ジッとあたしの顔を見つめる。
「なぁに?」
「……ううん。やっぱいいや」
奈乃は、何を言いかけたんだろう。
「あ、奈乃って、琥都のこと下で待たせてるんだよね?行こっか」
「うん」
あたしはカバンを持って、奈乃と一緒に教室を出ていく。
「あ……」
廊下を歩いていると、廊下の向こうに湊の姿を見つけた。
「どしたの?結雨ちゃん」
湊と他のクラスの女子が一緒に階段を上がっていくのが見えた。
湊ってば、とっくに部活へ行ったと思ってたのに。
「奈乃、あたしちょっと行く所できちゃった」
「うん、わかった。じゃあ、また明日ね」
「またね、バイバーイ」
奈乃と別れたあたしは、こっそり湊たちのあとを追いかけて階段を上がっていく。
階段をいちばん上まで上がり、屋上の扉の手前で立ち止まった湊と女の子。
あたしはふたりに見つからないように、途中の階段で足を止める。
下からふたりの姿を覗いて盗み見た。
なんとなく、このあとに起こる出来事の予想はついている。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
