それから10分後。
川原で待っていると、遠くから声がした。
「琥都ーっ」
電話で呼びだした快が、俺のところに走ってやってきた。
これからランニングするつもりだったのか、快はTシャツにハーフパンツ姿で現れた。
「ごめん……呼びだして」
そう言って立ち上がった俺は、快の目をまっすぐに見ることができない。
「どしたよ?いますぐ会いたいとか、俺はおまえの彼女ですか」
「うん……」
「“うん”じゃないだろっ!下向いて、どしたよ?」
快は俺の肩に手をおき、うつむく俺の顔を下からのぞきこんで、ニコッと笑う。
「ハハーン。もしかして~奈乃とケンカでもした~?」
「奈乃とは……別れた……」
「え……?」
笑顔だった快の表情は一変して、驚いた目で俺を見る。
「別れたなんて嘘っしょ……?」
快は何も知らない。
奈乃の気持ちにも気づいていない。
だから、いくら親友でも……別れた本当の理由は話せない。


![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)
